映画に無意味なシーンなんてない【us】
映画を観る体力
だいぶ間が空きましたね...
久しぶりの記事ですね。プライベートが多少忙しかったので、こちらに時間を割けていませんでした。
引っ越しです。
実は職場が東京から地元大阪に移りました。ありがたい話ですね。これからまた、以前のような頻度で記事を更新できそうです。
毎度帰省するときに感じていたことではありますが、JR大阪駅に降り立った時に見える、グランフロントとルクアを見ると涙が出てくるんです。
なんなんですかねあれ。
二郎系ばかり食べていたあの頃、素直な味のする「来来亭」を食べたときの気分に似てますね。「これよ、これこれ」みたいな感じでしょうか。
趣味だからとかじゃない
さて、いつもの語りだしをしましょうか。
私は日曜日にだいたい4,5本映画を観ています。これを多いと感じるか、普通と感じるかは個人差があると思いますが、知人からは「よくそんなに映画観れるな。体力がもたんし、集中力が持たへんわ」と言われることが少なくありません。
全くもってその通りで、4本目あたりは集中力も体力も持ってかれています。「実は重要でした!」なんてシーンも普通に見落としてしまいます。でも好きだから見ちゃうんです。
普段は、サスペンス、ミステリーなどを1,2本目にもってきて、4,5本目は分かりやすいアクションとかコメディかB級を観ています。分かりやすいので言うと、「キングスマン」みたいなもんでしょうか。こうでもしないと、ちゃんと観てられないですからね。
「重要なシーン」
さて、先ほど、重要なシーンを見逃してしまう、という話をしましたが単純な派手なアクションシーンや殺人のシーンなんて見逃しませんよね?
見逃しがちなのは、所謂「フラグ」「伏線」と呼ばれるものです。これらは映画を予測したり考えさせて楽しめる反面、すべてを察してしまい、答え合わせを待ち続けるだけの時間に変わってしまいかねない要素です。ちなみに、映画「イニシエーションラブ」は答え合わせを待ち続けることになってしまい、苦痛でした。
映画「シャッターアイランド」はいい例ですね。「伏線」の応酬です。情報量が多すぎて、映画2.5本分くらいの体力を持っていかれます。よくある映画ブログがやりたがる「ネタバレ」にうってつけの映画です。この映画、答え合わせが面白いので気になったら観てほしいです。だいぶ有名な作品なので、オススメしなくとも、といったところはあるかもしれませんが。。。
本題に戻りますが、何故「重要なシーン」を見逃してしまうのでしょうか。
理由はいたってシンプルで、重要なシーンと「無意味なシーン」が紙一重だからなんですよね。
「このシーンいる?」
主人公が出ていった後の部屋が数秒映し出される、謎のどアップ、変な場所へのフォーカスなどなど。集中力がなくなってくるとこのあたりの「無意味」と感じるシーンをスルーしてしまったりするんです。しかし、そこには監督の意図が必ずあって、木に竹を継いだようなシーンでさえ、ストーリーに必要なパーツであることがほとんどです。
上手に伏線をばらまいている映画も中にはありますが、「ヒント」を露骨に与えてくれる映画の方が多く、そちらの方が楽しめる場合が多いです。同時にこの手の映画の課題は、それとなくそのヒントを描写をして、ダイレクトに「解答に導かない」ことです。あくまで、この類のヒントを楽しい、面白いと感じられるものは、物語の中で「語られない」部分の推測が出来る箇所だと個人的には考えています。
「やっぱりなwww」と結末で思うのはあくまで副産物であって、映画の語られない部分を自身で作り上げていくのがこの類の映画の醍醐味だと思うんです。
ちなみに、母に「このシーンいる?www」って何度も言われるのは、映画「ルパン三世 カリオストロの城」にて、ルパンが囚われの身となったクラリスに会いに行ってマジックを披露するシーンです。
キレそう
どんでん返しと露骨な宣伝
日本で公開される際に宣伝文句としてよく使われる「あなたはラスト10分で騙される」っていうのが嫌いなんですよ。あなたは騙されるために観に行くんですか?端からアラを探して映画を観るのが楽しいですか?って話なんです。それが好きな人もいるとは思うんですが、ラストの10分にステータス全振りした映画を観るために、残り80分を捧げられないなぁ、と私は思うんです。
不確定な要素が多すぎる、ゆっくり違和感を覚えていく、その先に私たちが謎を解いていくというプロセスが発生するんじゃないのかなって。
さて、ここまでこんな話をしてしまうと、今回の映画の紹介をした時点で本末転倒な気がしますね…。
安心してください。あくまで今回紹介する映画は、私がアンチしていたような内容の映画ではありません。
映画「us」について
まずはいつも通りあらすじから
アデレードは夏休みを利用して、夫と2人の子供たちと一緒に幼い頃住んでいたカリフォルニア州サンタクルーズの家を訪問する。彼女は友人一家と落ち合いビーチへ出掛けるが不可解な出来事に見舞われ、過去のトラウマがフラッシュバックする。やがて夜になると、自分たちとうり二つの不気味な4人組が家の前に現れる。
(シネマトゥデイより)
この短いあらすじから既に、不穏な空気が漂っていますね。いい感じです、私が大好きな感じです。露骨なホラーテイストではない、けれども、確実に「只者」でない雰囲気が素晴らしいですね。
ルピタ・ニョンゴ
最近かなり引っ張りだこの女優ですね。お恥ずかしながら、私は彼女の出演作をあまり拝見できていません。MARVELなどが好きな方であれば彼女を目にしたことがあるはず。「ブラックパンサー」ですね。あまり興味が惹かれないMARVEL作品の中で、私が観た作品の一つです。(もう一つはヴェノムです。)
他の作品で言えばスターウォーズのEP7以降に出演しています。ここ最近の話題の映画に結構出ていて、日本で公開される映画の今後の出演に期待ですね。
ちなみに、本作での彼女は家族のママ役兼主人公として出演しています。
大変綺麗な顔立ちをしていることが、この映画においては、単純なプラスに働きません。気味が悪いというか、具合が悪いというか。
ジョーダン・ピール
彼の名前をポンと出しても、「誰ですか?」となる方のほうが多いのではないでしょうか。彼はコメディアンをしていたり、ナレーターをしていたりと、多岐にわたる分野で活躍されている方ですが、日本では知られていません。
じゃあ、どんな映画を撮る人なんですか?という話をしておくべきですよね。
以下のポスターを観て察してください、そんな感じです。
ひっさしぶりに、監督の名前だけで映画を選べる、と思うような監督に出会えました。私個人的には、監督「クリストファー・ノーラン」みたいな立ち位置の方です。
映画冒頭から少しだけ
さて、ネタバレしない程度に映画の冒頭を紹介していきますね。
主人公アデレード(ルピタ・ニョンゴ)は夫と二人の子を持つ母。彼らウィルソン一家はアデレードが乗り気でないのを後目に夏休みにサンタクルーズにあるビーチハウスを訪れます。近くに別荘を持っているみたいです。いいですね。アメリカらしい余暇の過ごしかたですね。
家族全員でビーチを満喫していました。長男のジェイソン(なぜかいつもお面を被っている)は砂浜で遊んでいるはずでしたが、母親である、アデレードが目を離したすきに、どこかに行ってしまいます。
そのころ一方、ジェイソンはひとりで皆のいるビーチの反対側に来てしまいます。
手から血を流し、両手を広げている男を目撃します。
その後、何事もなかったかのように、ウィルソン一家は別荘へと帰宅します。
事件はその夜に起きます。
ジェイソンが不穏なことを言い出します。
パパは死亡フラグみたいなのを軽く立てていくんです。
ドアから外を見ると4人の人影があります。
「彼女たち」はウィルソン一家の姿を見るや否や、別荘に強襲をかけます。
為す術もなく、彼女たちの家に侵入されてしまいます。
しかし、「彼女たち」はウィルソン一家をすぐには襲いません。
暖炉のあるリビングで、初めて「彼女たち」の正体がわかります。
そう、「彼女たち」の正体は「彼女たち」でしたね。
この映画はここからがスタートです。
所謂、ドッペルゲンガーと揶揄される彼女たちはいったい何者で、何を目的に彼女たちを襲うのか。そして、各所に散らばる不可解な映像が何を意味するのかを考えながら観ていただけると、この映画を倍楽しむことができます。
語らずの美学
「新世紀エヴァンゲリオン」が今でも人気なのは何故なのか。
それは、「AKIRA」が今でも熱狂的なファンがいるのと同じで、最早神格化されている事も一因でしょう。私個人的には、劇中で語られない部分や考察の幅が広すぎることが原因にあると思います。庵野自身は大して結末やシナリオを深くは考えていないかもしれませんね。でもそれでもいいんです。
大事なのは「作品を作中で完結させない」ことじゃないですか?観たあとにあーでもないこーでもないと考察するのは楽しくないですか?それが例え監督の真意でなくとも。
いい映画って、考える事で自身の体の一部となるような映画だと思うんです。今回の映画がそうです!なんて言えるようなもんを紹介したか、って言われると難しいんですけどねwww考察が楽しい映画です。
考えさせる場所なんて見る人の数だけ存在して、他人からすればどーでもいいシーンでも、自分にしたら刺さるシーンなんていくらでもあります。
「たった120分」の中で取捨選択をして出来たその映画に、無意味なシーンなんてないんです。