「立派」な仕事って何だろう【ナイトクローラー】
立派な仕事って、誰が決めんの?
小学校の頃になりたかったもの
私はゲームが大好きです。子供の頃に初めて父に買ってもらったゲームは「ポケットモンスター クリスタル」でした。あまりに魅力的すぎるそのゲームをきっかけに、私は様々なゲームに手を出していきます。父もゲームが好きだったこともあり、私に様々なゲームを与えてくれました。一緒に遊んでいたのが懐かしいです。今はswitchの「どうぶつの森」にお熱なようです。
小学校6年生まで将来の夢は「ゲームクリエイター」でした。理由は明確で、面白いゲームを沢山プレイしてきたのだから、次は私が作りたいと思いました。当時、非論理的な「ゲーム脳」みたいな話が囁かれていたのを覚えていますでしょうか。極めて稚拙な話でしたが、当時「ゲームクリエイターになりたい」と言ったのなら、多少なりとも「えーwwwまじ?」みたいな反応をされたと思います。これは世間の「ゲーム」に対する認識が少なからずあると思います。
ゲームクリエイターの夢は途中で変わってしまいました。変わったというか、夢がなくなった、に近いかもしれませんね。何となく思ったんです。「趣味を仕事にしたくないかもしれない」。あくまで好きなものは好きなままでいたい、と子供ながらその考えに達してしまいました。最近イチローさんも似たようなことをおっしゃっていました。
今はSIerと呼ばれる職業に私はついていますが、未だに「ゲームクリエイター」になりたいな、と思うことは少なくありません。
いいよなぁ、人に夢を与えられる仕事って。
子供がなりたい仕事
まずはこちらの画像を見ていただきたい。
昔だったら信じられないランキングだと思います。
単純に、「Youtuber」がなりたい職業の1位になっているということ。10年前なら信じられない調査、というか、そんな言葉もまだなかったかもしれませんね。日本は世界屈指のコンテンツ生産国ですので、その色が出ている気がしますね。
さて、あなたが人の親になったとき「僕はYoutuberになりたい」なんて言い出したら、なんて言いますか?
私は「えーwwwまじ?」って言っちゃうような気がしますね。それは、このYoutuberという、「不確定要素」しかないものに一抹の不安を覚えるからです。しかも既に、Youtuber界隈は飽和状態です。お金を稼ぐという目的であれば、よっぽどのユニークさが必要になります。希少価値、が必要です。また、40,50代になってもそれで稼げますか?と考えてしまいます。どこか安定を求めてしまうのです。これは2位の「esportsプレイヤー」にも当てはまることですね。魅力的なお仕事だとは思うんですけどね。私もなれるものなら、なってみたいと考えたことは何度もあります。
この画像を見て、「アメリカの中学生の夢は立派だなぁ」なんて思った方はいますか?確かに、どれも分かりやすく人の役に立つ仕事ですよね。
立派な仕事って何ですか?
「ナイトクローラー」について
こんな職業しってる?
カメラマン
この言葉って広義で使われますね。例えば、グラビアのカメラマンであったり、テレビ局のカメラマンであったり。私は「廃墟の写真」が好きなんですが、廃墟の写真を撮る人もカメラマンですね。(フォトグラファーっていうのが正しいのかな...)
今回紹介する映画の主人公もカメラマンです。しかし、一味違うカメラマンです。
所謂「パパラッチ」です。
そんな中でも、報道スクープ専門の映像パパラッチのことを
といいます。
今回はその話です。
おおまかなあらすじ
人脈も学歴もないために、仕事にありつけないルイス(ジェイク・ギレンホール)。たまたま事故現場に出くわした彼は、そこで衝撃的な映像を撮ってはマスコミに売るナイトクローラーと呼ばれるパパラッチの姿を目にする。ルイスもビデオカメラを手に入れ、警察無線を傍受しては、事件現場、事故現場に駆け付ける。その後、過激さを誇る彼の映像は、高値でテレビ局に買い取られるように。やがて局の要望はエスカレートし、それに応えようとルイスもとんでもない行動を取る。
ジェイク・ギレンホール
この映画の主人公を演じるのは「ジェイク・ギレンホール」。
彼の顔を観て、すぐお名前が出てきた人いますか?私は毎回、一回思い出す時間が必要になってしまいます。。。
国際的にも人気があり、『ピープル』誌が選ぶ「最も美しい人50人」のひとりに選ばれており、同誌の「2006年の最もセクシーな独身男性」にも選出されています。
日本では「まぁまぁ有名」くらいの立ち位置の彼ですが、出てる映画をリストアップしてみれば、いかに優れた俳優なのかが、すぐにわかります。
21世紀のカルト青春映画の傑作「ドニー・ダーコ」に、ヒース・レジャーの伝説の名演と作品の内容ゆえのオスカーでの不遇で名声を高めた「ブロークバック・マウンテン」。デヴィッド・フィンチャーの「ゾディアック」。
。。。?
あまりに強烈な作品に出てるな?
毎回毎回主演俳優を取り上げる必要はないんですが、今回はわかりやすい魅力を共有したいんです。
まずは「ブロークバック・マウンテン」のジェイク
そして、今回紹介する「ナイトクローラー」のジェイク
そう。彼は通称「カメレオン俳優」と呼ばれており、映画によってあまりにも人が変わってしまうんです。
「ナイトクローラー」のジェイクには、一切満面の笑みなんてありません。セクシー俳優の無駄遣いに近い映画ですが、びっくりするほど雰囲気にマッチしています。
見た目が違うのは当然なんですね。
この映画の撮影のために、彼は二ヶ月間の減量をします。
「昼夜逆転」の生活を送って12kgも。
映画の冒頭
ルイス(ギレンホール)は深夜を過ぎたロサンゼルスの操車場に侵入し、闇にまぎれてフェンスを切断しています。盗んで業者に売るためですね。
帰り道、彼はある光景を目にします。
事件現場に早急に到着し、痛ましい映像を収める「部外者」たち。
通称:ナイトクローラー
彼は、定職についておらずフリーターであったため、この仕事を生業にしようと意気込みます。どこか、彼を惹きつけるものがあったんでしょうな。
彼は、自前の知識で事故現場のスクープ映像を収め、テレビ局に行きます。
プロデューサーに映像を売りに行くとこんなことを言われます。
これを言われたルイスは、さらなる過激な映像を求め、犯罪まがいなことを犯しながら、着実にナイトクローラーとして成長していきます。
人というものはさらに過激なものを求めていくもの。プロデューサーの要望も高まっていき、彼はとうとう、正真正銘の犯罪に手を染めます。
一人ではすべての犯罪を追いきれない、と小さな会社を作ります。これで売れっ子街道まっしぐらです。需要に供給が応えはじめてきます。
ここまでがおおよそ映画の1/3くらいの内容ですかね。
ちなみにこの映画、後味最悪です。
ぜひ見てください。私はこんな映画が大好きなんです。
ルイス「僕のモットーは、デカく当てたいなら、リスクをとれ」
この章の最後に、彼のこの映画でのキャラがわかりそうなキャプチャを載せておきます。
「立派」ってなに?
記事の冒頭で、立派な仕事ってなんだよ、と私は投げて終わりました。
私は思っています。
どんな仕事も「立派」な仕事であると。
当然、犯罪に手を染めていたり、人を騙すことが前提の仕事であったり、ネズミ講みたいなやつは該当しませんよ?
ただ、どんな仕事だってだれかの役に立っていて、誰もバカにする権利なんてもっていません。よく、水商売をバカにする人を見ます。風俗嬢やホストなど。じゃあ、お前が一度やってみろよ、あの人たちみたいにお前が稼いでみな、って思うわけです。なにかしらの職に就いて、おまんま食べるということはそれなりの努力が必要であるということを理解している人はバカにすることはできないはず。
褒めるときに「立派な職業に就きましたね」と言うことは悪いことではないと思います。しかし、どんな仕事も「立派な仕事」です。YoutuberだってeSportsプレイヤーだって。
ルイスがしていたパパラッチだって、誰かの需要に応えたもの。
誰かが必要としている仕事は、なんだって「立派な仕事」だと思うんです。
そして、もし子供に「Youtuberになりたい」「eSportsプレイヤーになりたい」と相談されたら、バカにするのではなくて、私たちが「おススメしない」理由を言ってあげるべきですね。もしくは素直に「応援」してあげるべきです。
一番良くないのは、理由が明確でない「否定」です。